祝祭の歌姫 -君と紡ぐ明日への歌- の感想、それと思ったことを適当に。
※
ネタバレが入っているので注意です。
元は祝祭のノネットという同人ゲームらしい?
体験版にて、人種による差別や格差を主軸に展開するシナリオが面白そうだと思い購入しました。
キャラゲーも結構なのですが、こういったシナリオに力を入れてくれそうな題材は珍しかったもので。
では項目ごとにいきます。
・シナリオ
攻略順がほぼ決まっているようで、私はティファ→サーシャ→リオ→ユイナの順に。
ティファ
お金持ちのお嬢様は、実は小さい頃にお互いを好き合った人でしたなお話。
人種により立場が違う作品設定ですから、中間層である主人公が身分違いの恋をするにあたり、障害をどう乗り越えるかを見たかったのですが。
蓋を開けてみれば、上記のようにすでに結ばれるまでのプロセスはすっとばしているので、身分でどうこうはあまり関係ありませんでした。
イチャラブシナリオ。共通含め初回5時間弱と短め。
サーシャ
失った記憶について探るうちに、国がエール系の人間に対して行ったことを知ることとなる。
ティファルートと打って変わってこの世界の暗部が次第に明らかになってきます。ここからの展開は『魔女が死んだ日』に繋げる重要なものでそれなりに面白くはあるのですが、如何せん短い。
リオ
ティファの隠れた幼なじみ設定を踏まえた上での、真・幼なじみルート。
リオの主人公への依存度が高い理由が、裏の顔を含めて明かされます。黒いことをやってきたので、因果応報というか完全にハッピーエンドとならなかったのは好印象。
一途なリオにグッと来ます。
ユイナ
主人公・ティファ・サーシャ・リオ・ユイナとその親達、二世代を巻き込んだTRUEというべき話。
大業に人種の問題を持ってきた割には、実のところ主要人物と関係者の中で完結してしまうので拍子抜けでした。
ご都合と言っていいかも。
総プレイ時間:約8時間
とにかく山場と解決までのスパンが短すぎて、あれこれ考える時間を与えてくれない。
枠組みは面白そうなものを持っているのですが、ボリュームというか描写が大味で、理解はしやすいけれども話に深みがないですね。
あまり見ない舞台設定だったので期待値が上がりましたが、そのぶんがっかり感が一層強くなりましたよ。
・えち
ティファ3
サーシャ2
リオ3
ユイナ3
カヤ1
尺が短くCGが致命的にエロくないので使えませんでした。
・絵
かなり不安定で一枚絵の度に顔が変わったり。
特にサーシャは原画数人で描いたのではないでしょうか。
・音楽
ボーカル曲をはじめとして、音楽は良いものが揃っています。
ボイス抜けがところどころにあるのは気になりますね。
総評そもそもが同人ゲームとして制作されていたようで、それをそのまま商業作とするには無理がある。
CGは失礼ですがいわるゆる“同人レベル”で粗が目立ちますし、現在の業界のグラフィック水準が上がっている中でこんな状態で参入は厳しい。
シナリオが飛びぬけているというわけでもないので、ミドルプライスで販売といえども、私には結局同人ゲームでしかなかったです。
シナリオ☆☆
えち☆
音楽☆☆☆
絵☆☆
55点
ここまでが感想。
もうちょっとだけ続くんじゃ。
今回、私が引っ掛かったのは同人と商業の違いについて。
最近では以前にも増して同人からブランドやスタッフさんが参入してきました。
この数ヶ月だけでも
らぶおぶ恋愛皇帝 of LOVE!
ChuSinGura46+1 -忠臣蔵46+1-
3人いる! ~Happy Wedding in Livingroom~
その花びらにくちづけを
なつくもゆるる
ないしょのないしょ!
目に止まるタイトルにも同人時代に評価されてきた方々が参加されていますね。
こういった場合はもちろん、同人作からのファンがついてきますし新ブランドとはいえ安心感が多少でてくるでしょう。
同人から商業になるということは、当然のことながら動くお金が増えてきます。ですので同人にて実績があるということは有利ですね。
ちょっとここで読んでもらいたいのが、
チュアブルソフトさんの開発日誌の◆「ユーザーさんがお金を払ってくださる意味」について考えるよ の項目。イシダ氏が仰るとおりに、ユーザー側からしたらお金に見合った満足を期待しているわけで。エロゲ一本の価格は決して安くないです、しかしそれでも私はその満足をエロゲで得られるので買い続けていますよ。
ここで祝祭の歌姫に戻りますが、この作品にはそういったユーザーの満足(=作り手としても利益を獲得することに繋がる)のための工夫が見られないんですよね。聞くところによると、元々同人ゲームとして制作していた祝祭のノネットという作品をそのまま完成させて発売したようで。
本当にそのままなのですよ、シナリオ・絵・音楽・声優と
どこをとっても同人ゲームとしてしか作られていない。なんのための商業化でしょうか、ただゲームとしての形を作るだけでなく、売れるものを作るためにもっとやることはあると思います。
同人からの参入や新ブランドもアリだとは思いますが、新規参入の敷居が下がっているからこそこういった残念な作品も増えていることを忘れないようにしておきたいです。